< 足利事件と公訴時効完成数、時効の撤廃問題について kenji145のひとり言日記
プロフィール

kenji145

Author:kenji145
 男。年齢は書かないことにしました。趣味は競馬、ゲーム、ネット、ドライブなど。詳しくは下記サイトを。

kenji145の募金りんく~クリック募金の紹介とアクセス募金~
 クリックするだけ、無料でできる募金サイトのリンク集。アクセス募金も実施中。このblogのメインサイトです。

カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
RSSフィード
QRコード
QR
その他
あわせて読みたいブログパーツ

足利事件と公訴時効完成数、時効の撤廃問題について
「死刑や時効廃止を」=菅家さん、議員に要望-足利事件(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200906/2009061100407

 足利事件の再審請求審で、無期懲役刑の執行停止により釈放された菅家利和さん(62)が11日午前、東京・永田町の衆院議員会館で開かれた民主党の法務部門会議に出席し、「死刑廃止だけはぜひお願いします」と訴えたほか、公訴時効の廃止も強く要望した。
 菅家さんは同党の国会議員ら約30人を前に、警察による当時の取り調べの様子などを証言。「『お前、やったんだよな』『やってません』の繰り返し。聞き入れてくれないので『もういいや』と思い、悔し涙を流して、『やってしまった』と言った」としたが、「いずれ分かってくれると思っていた」と話した。
 議員からは時効制度などについて問われ、「(真犯人には)早く出てこいと言いたい。たとえ時効になってもわたしは関係ない」などと話した。


 足利事件の冤罪被害者、菅家さんが死刑の廃止とともに、公訴時効の廃止を求められています。それで最近の公訴時効完成件数がどの程度あるのかと思って調べてみると、法務省が本年3月31日に出した『凶悪・重大犯罪の公訴時効の在り方について ~当面の検討結果の取りまとめ~』(以下、『取りまとめ』)という報告書に過去10年の表が掲載されていました(下にキャプチャー画像)。
公訴時効完成数

 これを見ると、殺人、放火の時効件数はほぼ横這いであることが見て取れます。強盗はほぼ50件前後で推移してきたのが、平成19年に146件と右肩上がりになっているように見えますが、あと1、2年見ないと傾向と言えるのかちょっとわかりません。はっきり見て取れるのが強姦と刑法犯で、どちらも明らかに過去10年間で右肩上がりに増えています。
 何か法の解釈の変更等、基準の変更があったためにここまで上がっているのかもとも思い法務省に問い合わせて聞いてみましたが、そういうことは特に無く、刑法犯は窃盗の件数自体が大幅に増加していることが反映されているとのこと。犯罪件数自体が増えていることもあるが、表を見ての通り、時効件数が増えているとそのまま読み取って良いとのことでした。
 つまり、年間だいたい50人前後の殺人犯が時効を迎え、強姦と刑法犯については過去10年間で何倍もの公訴時効を迎えた犯人を出してしまっているというのが現状のようです。

時効撤廃求め4万人の署名提出 殺人事件被害者遺族の会(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0611/TKY200906110141.html

 公訴時効制度の撤廃を求める「殺人事件被害者遺族の会」(通称「宙(そら)の会」)が11日、法務省を訪れ、賛同する約4万5千人の署名と嘆願書を提出した。「被害者、遺族の視点から十分に検討し、時効制度撤廃に至る結論を速やかに導いてほしい」と求めている。
 世田谷一家殺害事件の遺族、入江杏さんは会見で、足利事件にも触れながら「時効制度の理不尽さに一般の人が強く共感してくれた。この法制度をこのまま見逃してはいけない。変えていかなければ」と話した。
 法務省は「凶悪・重大犯罪の公訴時効の在り方」について、改正の必要性、対象犯罪の範囲などの論点を示して意見募集しており、この日が締め切り。


 このようなこともあり、現在、公訴時効の在り方がかなり議論となっています。上の記事にあるように、被害者遺族の会は時効の撤廃を求め、署名を集める等しているようです。
 そもそも時効とは、『取りまとめ』を見ますと、

(1)時の経過とともに,証拠が散逸してしまい,起訴して正しい裁判を行うことが困難になること
(2)時の経過とともに,被害者を含め社会一般の処罰感情等が希薄化すること
(3)犯罪後,犯人が処罰されることなく日時が経過した場合には,そのような事実上の状態が継続していることを尊重すべきこと


 をその根拠としているとのことですが、(2)と(3)はあまり理由にならないようなものです。(2)については被害者側は希薄化しないと言っており、実際、平成16年改正で時効を延ばした際には改正する側の理由にもなりました。(3)については殺人のような重大な犯罪をおかした者に対して、長期間見つからなかったからと言ってその状態を保護する理由はありません。
 ということで、時効のあり方を考える際には(1)をどう考えるか、これに付随している捜査体制や人員の問題をどう考えるかということになるのでしょう。また、平成16年改正との関係も考えなくてはなりません。
 先日、ある専門家の方と話をした際、「普通、時効撤廃の話を考える時、多くの人は自分が被害者になった時を想像して考え、自分が加害者になることは考えもしない」と言われ、確かに、と納得してしまいました。例えば時効が撤廃されたとして、50年後に「おまえが犯人だ」と逮捕されたとして、私は自分の無罪を立証できる自信はありません。1年前の特定の日時に何をしていたかすらほとんど覚えていないのに、50年前のある特定の日時に何をしていたかなどわかるはずもありません。50年となると、もしアリバイを言ったとしてもそれを証明する人が既にこの世にいない可能性もあります。証明するレシートは無くなっているでしょうし、店員に証明してもらおうにもお店が無くなっているかもしれません。そう考えると、ここまで長期間経ってからの立件で「目撃証言があった」とか「現場に落ちていた物が誰のものかわかった」程度では証明力としては明らかに弱いと思います。
 ではDNA鑑定ができるケースを、という話もありますが、これはかなり厳格にしないとかえって冤罪を生むのではないかと思っています。例えば凶器である包丁からあなたのDNAが検出された、と50年後に言われたとしても、もしそれが盗まれたものだったり、気付かぬうちに紛失していたものだったりしたとしても、それを証明できる術は容疑者にはないのではないかと思います。容疑者から防御権を奪った状態での科学への過度の依存は、かえって科学による冤罪を生むと私は思っています。
 とはいえ何もしなくていいとも私は思っていません。DNAを使えばほぼ明らかに真犯人を特定できるケースがあるはずです。例えば今回の足利事件ではDNA鑑定により菅家さんの無罪が明らかになりましたが、それはそこから検出されたDNAの持ち主が明らかに犯人であるからです。もっと言えば、報道機関は自主規制ではっきりとは言いませんが、幾つかの公表されている裁判資料等を見る限り、足利事件も飯塚事件も検出したDNAを手に入れた場所は被害者の下着や性器の内部です。強姦したDNAの持ち主と殺害した犯人とが別人の可能性は限りなく薄いと思います。このようなDNA鑑定を使えば真犯人を特定できるケースについては、そのDNA資料とその他の証拠類を検察が裁判官に提出し、時効の停止を請求し、合議制などある一定のルールのもとで時効の停止を行えるようにすべきではないかと思います。
 同時に、DNAだけに頼らず、既に容疑者を特定できていて指名手配がされているが逮捕できていないケースや、その他の証拠の積み重ねであるDNAの持ち主が真犯人であると言い切れるケースなども、再度証拠の有効性等を同じルールのもとで検討して時効の停止を行えるようにしてもよいのではと思っています。時効のある大きな理由が「証拠の散逸」ですので、ある時期に散逸しておらず裁判が維持できることを明らかにできれば、理論的に時効を延ばすことも可能なのだと思います。
 と、ここまで時効の撤廃問題について書いていきました。本来、『取りまとめ』にあった上の表はゼロが並んでいなければならないものです。ですが、現実問題としてそれは不可能で、あのような数字が並んでしまっています。あの表の数字をできる限り小さく、ゼロに近づけることが最も大切なことと考えると、そのためには時効の撤廃だけでは足りず、多層的に考えなくてはならない問題なのだと思います。


ニュース | 【2009-06-22(Mon) 18:14:54】
Trackback:(0) | Comments:(0)
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Google Ad
CalendArchive
サイト内検索 by Google
カウンター
リンク



このブログをリンクに追加する