http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091118/plc0911181302013-n1.htm
政権発足して既に2か月が過ぎているのに、「確保したい」「整備したい」「態勢をつくりたい」ってさすがに遅いのでは?「(政策や計画を)つくりたい」ならそれなりに時間がかかるのもわかりますが、体制整備なんてその前段階の話なのに、なぜまだできていないのかがよくわかりません。もちろん菅副総理がサボタージュしていると言うつもりはなく、菅副総理に全ての責任があると言うつもりもなく、おそらくやりたくてもできない状況があるのだと思います。誰かが閣内で足を引っ張っているということでしょう。このまま進んだとしたら、その状況を許している鳩山総理のリーダーシップも問題になっていきます。菅直人副総理・国家戦略担当相は18日午前の衆院内閣委員会で、現在11人いる国家戦略室のスタッフについて、「大変重要な役割を担うには人材をしっかり確保したい。スタッフを3倍ぐらいにして、どういう問題が出てきても対応できる態勢を整備したい」と述べた。また、「外交・安全保障に知見を持っている人をスタッフとして採用し、あらゆることに対応できる態勢をつくりたい」とも語り、外交・安全保障の政策立案にも関与することに意欲を示した。小泉進次郎、平井卓也(ともに自民)氏の質問に答えた。
戦略室のスタッフは民間から6人、霞が関から5人の計11人。このほか戦略室に関係する議員は菅氏や古川元久内閣府副大臣ら4人で、菅氏は民主党側に議員スタッフ増員に党側の協力を求めている。
事業仕分けマニュアルが存在していた! 背後に財務省の影(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091117-00000657-san-pol
こちらは同じく空っぽの部屋からスタートした行政刷新会議の事業仕分け。産経の記事ですが、財務省がマニュアルを作ることは本当に悪いこと?これまで事業仕分けに関して書く中で何度か財務省批判や藤井財務大臣批判もしましたが、財政規律を守るというのは財務省の本来業務の一つとして当然にあり、予算を増やしたい守りたい各省庁からの資料とともに、予算を削りたい財務省からの資料も使うということは当然のことだと思います。それで財務省の意のままに全てなってしまっているのなら問題ですが、マニフェストに掲げた政策については主張を押し通しているんですから何の問題があるのだろうと思います。行政刷新会議の事務局が事業仕分け作業にあたって作成したマニュアルの存在が17日、明らかになった。マニュアルは事前に仕分け人に配布され、これをもとに仕分け作業が進められた。マニュアル作成について、仕分け作業の統括役を務める民主党の枝野幸男元政調会長は同日、「情報を共有するために私の判断で作った」と述べたが、マニュアルの背後には財務省の影がちらついている。実際の仕分け作業でも民主党マニフェスト(政権公約)に基づく一部の政策を除けば、財務省のお膳(ぜん)立てに従った判定が目立っている。(中略)
一方、歳出規模の削減を進めたい財務省に対して、民主党はマニフェストに掲げた政策についてはぎりぎりで主張を押し通した。とりわけ社会保障関連予算は、マニフェストに「自公政権が続けてきた2200億円の削減方針は撤回する」と記述されており、仕分けでも厚遇されている。仕分け対象として取り上げられる数も少なく、削減額も小幅にとどまっている。
エネルギー関連事業にもこの傾向が表れている。民主党は、マニフェストで「原子力利用について着実に取り組む」としている上に、鳩山由紀夫首相は2020年までの温室効果ガス25%削減を掲げており、原子力発電の推進は欠かせない要素だ。17日の仕分け作業では、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の運転に慎重な意見が相次いだにもかかわらず、仕分け結果では、運転再開を容認。民主党の方針に沿った結論となった。
仕分け作業は、公開の場で行うことによって予算編成の透明化を図るという建前になっている。しかし、見えない部分にからくりがあり、そもそも仕分けの俎上に載せた事業の選定は、財務省の作成したリストがもとになっている上に、仕分けマニュアルにも財務省の意向が色濃く反映されたふしがある。あらかじめ財務省が書いたシナリオに沿い、一部に民主党の独自色を加えたのが今回の仕分け作業の本質だ。
政府与党ですから官僚を使うのは当然のことです。予算削減が求められる中、予算を削りたい財務省側の資料を使うのも当然のことです。それで全て財務省資料の通りになり、マニフェストの政策も撤回するようなら大問題ですが、そうでないならよく判別できているということではないでしょうか。
<事業仕分け>前半の作業終える…1.4兆円を捻出(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091117-00000136-mai-pol
額は新聞社によって異なっていますが、どちらにせよ事業の削減より独立行政法人などの基金等の返納の方がずっと多いというのは間違いないはずです。これまでも何度か書きましたが、やはり来年度については即効性のある「埋蔵金」が重要だと再認識しました。政府の行政刷新会議は17日、来年度の概算要求から無駄を洗い出す「事業仕分け」の前半5日間の作業を終えた。事業の「廃止」や「予算計上見送り」による予算の削減のほか、公益法人などの基金の国庫返納などを求め、総額1兆4000億円超を捻出(ねんしゅつ)した。24~27日に後半の事業仕分けを実施し、更なる上積みを図る。(中略)
刷新会議が仕分けの対象とした447事業のうち、前半5日間で仕分けをしたのは243事業。毎日新聞の集計では、「廃止」と判断したのは計33事業879億円で、「予算計上の見送り」は12事業582億円。「予算縮減」のうち、削減幅を明記したものを含めると、削減額は計約4900億円となる。
また、国庫への返納を求めた公益法人や独立行政法人の21の基金や貸付金の合計は約9500億円で、削減額と合わせると1兆4000億円を超えた。
削減幅を明示していない「予算縮減」や、「地方や民間への事業移管」の判断が多数を占めて、「予算要求通り」と判断したのは、厚生労働省の「優良児童劇巡回事業」のみだった。(後略)
それと関連して、鳩山総理の「今年度限り」発言は不用意。現内閣で作った予算に「無駄」があってはならないということなんでしょうが、今回の事業仕分けで全ての事業を仕分けできる訳ではないですし、やはり時間をかけて毎年続けていくべきだと思います。事業仕分け経験者でゆ党的なみんなの党の山内康一議員の言っている「今回対象にならなかった事業は来年度以降対象にすべきだと思います。例えば、すべての事業を仕分けるのに3~4年かければいいと思います。オリンピックくらいの頻度で事業の再チェックを行うと考えればよいでしょう。一度事業仕分けした事業でも、3~4年たてばもう一度チェックすべきです」というようにするのが理想的だと思います。
これまで書いたもの。
・長妻厚生労働大臣と藤井財務大臣、事業仕分けに岡田支持派
・独法の剰余金や埋蔵金も事業仕分け対象に 原口総務相
・事業仕分け、蓮舫議員と国立女性教育会館・神田理事長のバトルと「埋蔵金」対策組織の新設検討
子ども手当の所得制限「あり得る」 藤井財務相が表明(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/091118/fnc0911181713017-n1.htm
高速道路の無料化のモデル事業等は「段階的実施」とだけ定めていたので様々なやり方を検討してよいと思いますが、こちらは所得制限があったら明らかな公約違反です。「次代の社会を担う子ども1人ひとりの育ちを社会全体で応援する」という立法目的からも外れます。立法目的の無くなった法律など作るべきでもありません。また、マニフェストに「相対的に高所得者に有利な所得控除から、中・低所得者に有利な手当などへ切り替える」と書いてある通り、これまで高所得者に有利な制度を中・低所得者に有利な制度に切り替えるのに、さらに高所得者を排除するというのは所得分配の度が過ぎると私は思います。藤井裕久財務相は18日の記者会見で、平成21年度から創設する子ども手当について、所得制限の設定が「論点となり得る」と述べた。子ども手当は、初年度は半額の1人当たり月1万3000円、22年度からは2万6000円が支給される。
政府は、概算要求で過去最大の95兆円に膨らんだ22年度予算を圧縮するため、マニフェスト(政権公約)に盛り込んだ重要施策についても、見直す方針を打ち出している。子ども手当については与党内でも、所得制限を求める声が出ていた。
と、事業仕分けマニュアルで財務省を擁護しながら、最後は結局財務省と藤井財務大臣批判(^^;
いくつかに分けてお答えしたいと思います。
・まず私自身は事業仕分け自体には賛同していますが、今回のやり方全てに賛同している訳ではありません。
特に、時間が少なく1日に詰め込みすぎなために事前の検討時間が足りないこと、民間にその分野の専門家が少ないことから、削る方にばかり視線がいってしまっているように思います。
・また、結果についてもおかしいと思うものもいくつかあります。
例えば農水省の耕作放棄地再生利用緊急対策は、自給率の向上や地域の再生、雇用対策など農業以外への波及もあります。
今回、基金を使い切っていないということが問題視されたようですが、今年できた制度で自治体で協議会を立ち上げるのに時間がかかったために使い切っていないだけでニーズは多いと聞いています。
我が国の農村や農業をどうしていくか、雇用をどうしていくかという長期ビジョンが政府の中で共有化されていないからこのような結果になったと思っています。
・私は科学について専門知識が無いので細かい話はわかりませんが、同じようなことはSPring-8にも言えるはずです。
本来なら国家としての長期的ビジョンがあって、どのような国にしていくか考えられていて、その上で事業仕分けがあるべきなんだろうと思います。
ビジョンの上で、それに合わないものは国がやるべきかも含め検討され、それに合うものもより効率的な使い方等が無いかが検討されるということだと思います。
・我が国には残念ながら資源もなく、国土も狭く、どのように我が国を今後も成長させていくかを考えると、技術立国しか無いと思います。
それをどう進めていくか、当然のビジョンが現政府において検討されていないどころか検討する場の体制もできていない、国家戦略室の遅れは著しいものがあります。
(もちろん各省庁ではビジョンの検討は始まっていますが、全体像を作るのは国家戦略室の仕事です)
・ただ、この事業仕分けの結果は重視されるとは思いますが、100%反映されるかはまだわかりません。
予算の最終決定は例年クリスマス頃ですが、それまでに反対の声が多くあがり、その論に説得力があるものなら、覆る可能性もあるとは思います。
事業仕分けの公表と予算決定までのタイムラグのおかげでそういうことも可能になりますが、結果は重視しつつ、杓子定規でやる必要は無いと思っています。
・行政刷新会議も「国民の声担当室」設置というニュースが流れていますが、文部科学省でも意見が募集されています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm
法案制定の際のパブリックコメントもそうですが、思ったより省庁は個人からの意見を重視している印象を持っています。
save.the-earthさんのご意見は蓮舫議員の部分を除いて形を整えればそのまま使えそうですし、送られるのも良いのではと思います。
特に「多額の投資を費やした最先端の施設を縮小して、一世代前の施設には手をつけずに温存するというのは、合理的ではありません」の部分は私のような素人が聞いても説得力のある話だと思います。
・蓮舫議員については以前書いたように、もう少し違う言い方があるのでは、と常々思っています。
ですが、政権交代以前は長妻議員とコンビを組んで年金問題の追及にも活躍されました。
心の中はもちろんわかりませんが、我が国の国益に資する活動だったと思っています。
・また、事業仕分け自体はプロの目以外にも様々な視点から見ていくことで事業を見直すものなので、蓮舫議員の専門知識力はあまり関係がないと思っています。
問題は、ゼロベースのそもそも論から始めていく中で、役所側ではなく仕分け側にプロの目や現場の目が少ない、あるいは無いことで、削減ばかりに目がいってしまったことだと思います。
本来なら国が今やるべき事業と判断されれば「増額」というものもあって良いはずですが、「要求通り」すらほとんど無い状況です。
以上、専門知識が無いために直接お答えできていない部分もあると思いますが、お話をお読みしての感想と考えを書かせていただきました。